薬剤耐性菌の真実
ある種の細菌(大腸菌)を培養したとき、そのなかの一部のみが行う「人助け的な」行動のおかげで、抗生物質の存在下でも細菌の集団全体が生き残っていることがわかったそうです。細菌が、抗生物質に対する耐性を発達させることは医療現場でよく問題になっていますが、この発見によって、さまざまな細菌が集団レベルでどうやって抗生物質耐性を獲得しているのかなど、今まで意識されなかった問題点が新たに活発に研究されるようになり、もっともっと複雑で巧妙な仕組みが明らかになってくるのかもしれません。微生物学、分子生物学だけでなく、生態学、進化生物学的な視点から切り込んだところなど、目の付けどころが面白いなあと思いました。
大腸菌(Escherichia coli)の電子顕微鏡写真 (from Wikipedia)