KY BLOG

昆虫と微生物の研究とアート

Bracovirus

昨日のゼミで取り上げられていた論文

Gasmi et al. (2015) Recurrent domestication by Lepidoptera of genes from their parasites mediated by Bracoviruses. PLoS Genetics 11(9):e1005470.

 Bracovirusという名のウイルスはチョウやガの仲間に寄生する寄生蜂から見つかるDNAウイルスである。このウイルスのDNA断片が幅広い分類群の昆虫のゲノムから見つかっており、どうもそれらが機能しているという。なんとヨトウガではそのDNA断片がバキュロウイルスという有名な病原体に対する抵抗性に関わっているという。

ボルバキアの論文

(ボルバキアを研究している人にとっては)衝撃的な論文が出ていた。

Pontier SM, Schweisguth F (2015) A Wolbachia-Sensitive Communication between Male and Female Pupae Controls Gamete Compatibility in Drosophila. Curr Biol. 2015 Sep 2. pii: S0960-9822(15)00886-6. doi: 10.1016/j.cub.2015.07.052.

 ボルバキアによる細胞質不和合に蛹の時期におけるオスメス間のフェロモン伝達がかかわっているという驚きの内容。今まで言われていたmodification-rescue説は間違っているのだろうか?キチョウのように母親がバラバラに卵を産むような種で見られる細胞質不和合はどうなっているのだろうか?この論文、あとでちゃんと読んでみよう。

 

蛾の幼虫の眼状紋と体の大きさ

先日のゼミでとりあげられていた論文。

Body size affects the evolution of eyespots in caterpillars. 

Hossie et al. (2015) PNAS 112: 6664-6669.

 蛾の幼虫には目玉模様がついたものが多い。この眼状紋とよばれる模様によって、鳥などに食べられにくくなっていると考えられている。幼虫が大きくなる種には眼状紋があり、小さい種には眼状紋がない傾向がみられるという。このことを踏まえ、野外で小麦粉とラードを練って作った幼虫模型が食べられるかどうかを調べたり、この幼虫模型にニワトリがどう反応するかを調べた論文。大きい幼虫にとってのみ眼状紋のメリットがあるという仮説がある程度検証された。なかなか面白い。

消えるオスの書評

アマゾンのトップ10レビュアーであるLAW人さんから書評を書いていただいていた。本当にありがたいです。

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