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KY BLOG

昆虫と微生物の研究とアート

ツェツェバエの共生細菌と免疫

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今日のセミナー(論文紹介)の題材は、ツェツェバエだった。ツェツェバエはヒトや動物の血を吸って生きている。アフリカで深刻な病気である眠り病を引き起こす原虫トリパノソーマを媒介することから、恐ろしい害虫として知られている。ツェツェバエは、昆虫にしては珍しく、胎生で子どもを産む。どういうことかというと、母親はどこかに卵を産みつけるのではなく、自分の体の中で孵化させ、ミルクを与えながら大きくなるまで体内で育てるのだ。しかも驚くべきことに1回に1匹しか育てない。なんと生涯に8匹程度の子どもしか育てないという。また、ツェツェバエには、ビタミンなどを合成してくれる共生細菌Wigglesworthiaを持っており、この共生細菌がないと生きていけないことが知られているが、母親が子どもに与えるミルクにこの共生細菌が含まれているため、子どももちゃんと育つことができる。

この研究によって、ペプチドグリカン認識タンパク質の一種であるPGRP-LB(アミダーゼ活性を持っている)が、このミルクの中に大量に含まれていて、それが免疫を抑えているということが明らかとなった。免疫が強く働いてしまうとWigglesworthiaが減ってしまうから、そうならないようにしているらしい。また、PGRP-LBにはトリパノソーマを抑制する働きがあることも明らかとなった。

Wang J & Aksoy S (2012) PGRP-LB is a maternally transmitted immune milk protein that influences symbiosis and parasitism in tsetse's offspring. PNAS 109: 10552-10557.

 画像はYaleNEWSより