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昆虫と微生物の研究とアート

宿主に直接害をもたらすボルバキアがダンゴムシでみつかった

Braquart-Varnier et al. (2008) Wolbachia mediate variation of host immunocompetence. PLoS ONE 3: e3286.

オカダンゴムシには、ボルバキア系統wVulMに感染されているものと、それとは別の系統wVulCに感染されているものがいる。
なんと、wVulCに感染されているダンゴムシでのみ、血球数が少ないこと、敗血症にやられていること、寿命が短くなっていることがわかった。

敗血症にやられていることをどうやって調べたかというと、ボルバキアに感染していないダンゴムシ、wVulMに感染されているダンゴムシ、wVulCに感染されているダンゴムシの体液をを寒天培地に撒き、コロニーがどれだけ増えてくるのかをみている。

3種類の寒天培地を使っている。

  • チョコレート寒天培地・・・非選択性。栄養要求性の厳しい真正細菌の培養にも用いられる。赤血球を溶かしてあるせいでチョコレート色をしているらしい。チョコレートが入っているわけではない。
  • ナリジクス酸寒天・・・ナリジクス酸がグラム陰性細菌に対して抗菌作用があるため、グラム陽性の選択培地として使っている。
  • ミュラーヒントン寒天培地・・・グラム陰性細菌が選択的に増えるらしい。

実際の作業は生えてきたコロニー数を数えるだけなのでラクそう。wVulCに感染されているダンゴムシの体液からは、ナリジクス酸寒天で有意に多くのコロニーが増えてきた。細菌の同定(シーケンス)などはやられていない。