犬の科学
今読んでいる本を紹介します。僕はいままで、犬はありふれた動物だし、その起源、形質などについても十分によくわかっていると思っていました。狼と犬の共通祖先に対して、人が長年人為的に選抜をかけ、我々にとって好ましい性質を持つようにすることによって犬ができあがったのだと思っていたのですが、これはとんでもない間違いでした。私たちの身近にいるこの生き物のことが生物学者のあいだでも最近までそこまでわかっていなかったということも驚きです。犬は家畜のようなものとみなされていたため、自然科学の研究対象としては面白くないと思われていたようなのです。著者は有名な科学雑誌Natureの編集員も務めていたことのある人で、内容は科学的にもしっかりしているようです。参考文献も充実しています。
- 作者: スティーブンブディアンスキー,Stephen Budiansky,渡植貞一郎
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 2004/02
- メディア: 単行本
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本の内容は面白いのですが、少し読みにくいです。どうやら英語の文法構造を壊さずにそのまま「正確に」日本語に訳してあるようで、まるで英語を読んでいるような気分になります。訳者がプロの翻訳家ではなく大学教授であることを知ってちょっと納得しました。正確さを失わずに、しかも読みやすい日本語に翻訳するのは、想像以上に大変なんだろうなと思います。