KY BLOG

昆虫と微生物の研究とアート

論文

痛い研究

今週のゼミは今年のイグノーベル賞が題材だった。特に衝撃的だったのは、コーネル大学の研究者が自分を実験台にして体のいろいろな箇所を蜂に刺させて、その痛みの度合いを調べたというもの。体の25か所について(頭、脇、乳首、鼻、唇などだけでなく、陰茎…

感染に応じて遺伝的多様性を増大させる

今週のゼミで私が取り上げた論文。 Fruit flies diversify their offspring in response to parasite infection.Nadia D. Singh, Dallas R. Criscoe, Shelly Skolfield, Kathryn P. Kohl, Erin S. Keebaugh, Todd A. SchlenkeScience 14 August 2015: Vol. 3…

アリの体毛

先週のセミナーで取り上げられていた論文。 Keeping cool: Enhanced optical reflection and radiative heat dissipation in Saharan silver ants.Norman Nan Shi, Cheng-Chia Tsai, Fernando Camino, Gary D. Bernard, Nanfang Yu, Rüdiger WehnerScience V…

Bracovirus

昨日のゼミで取り上げられていた論文 Gasmi et al. (2015) Recurrent domestication by Lepidoptera of genes from their parasites mediated by Bracoviruses. PLoS Genetics 11(9):e1005470. Bracovirusという名のウイルスはチョウやガの仲間に寄生する寄…

ボルバキアの論文

(ボルバキアを研究している人にとっては)衝撃的な論文が出ていた。 Pontier SM, Schweisguth F (2015) A Wolbachia-Sensitive Communication between Male and Female Pupae Controls Gamete Compatibility in Drosophila. Curr Biol. 2015 Sep 2. pii: S0…

蛾の幼虫の眼状紋と体の大きさ

先日のゼミでとりあげられていた論文。 Body size affects the evolution of eyespots in caterpillars. Hossie et al. (2015) PNAS 112: 6664-6669. 蛾の幼虫には目玉模様がついたものが多い。この眼状紋とよばれる模様によって、鳥などに食べられにくくな…

ショウジョウバエの性決定 X:A説について

MURさんに教えていただいた論文 Erickson JW, Quintero JJ (2007) Indirect Effects of Ploidy Suggest X Chromosome Dose, Not the X:A Ratio, Signals Sex in Drosophila. PLoS Biol 5(12): e332. doi:10.1371/journal.pbio.0050332 この論文が出ているの…

メス化と単為生殖

Ma WJ, Pannebakker BA, van de Zande L, Schwander T, Wertheim B, Beukeboom LW (2015) Diploid males support a two-step mechanism of endosymbiont-induced thelytoky in a parasitoid wasp. BMC Evol. Biol. 15(1):84. [Epub ahead of print] やはりそ…

巨大な精巣を持つコオロギ

2011年のBiology Lettersにこんな論文が出ていた。Platycleis affinisという種では、精巣はなんとオスの体重の14%をも占めるらしい。 Larger testes are associated with a higher level of polyandry, but a smaller ejaculate volume, across bushcricket …

オス殺しを起こすマイオティックドライブ(Xドライブ)

ショウジョウバエなどでよく知られているXドライブは、変異があるX染色体をオスが持っていた場合、Y染色体を持つ精子の形成がうまく起こらず、X染色体を持つ精子が多く生産され、結果的に子どもの性比がメスに偏る現象だ。今回紹介されているskewと名付けら…

チョウの擬態と性決定遺伝子

アゲハチョウの仲間で毒を持った別属の蝶に擬態している種がいる。その原因遺伝子がなんと性決定遺伝子の一つであるdoublesexであることがわかったという。これはちゃんと読まねば。 原著:K. Kunte et al., “doublesex is a mimicry supergene,” Nature, do…

ABCトランスポーター

先週のゼミは、節足動物のABCトランスポーターについての総説だった。ABCトランスポーターとは脂質2重膜を物質が行き来するときに輸送体のことでATPを使って能動的に運ぶ。ABCとはATP-binding cassetteの頭文字。様々な役割を担っているが、農薬に対する抵抗…

査読1本目終了

今日締切の査読がやっと終了。すばらしい内容で実験もしっかりしているし、論理構成も完璧でまったく文句なし。雑誌のランクがそれなりに高いとしっかりした内容の原稿が集まりやすいんだろうなあ(当然か・・・)。ちなみに今回は中国からの投稿でした。あ…

ボルバキアの感染移植リスト

ボルバキア感染移植に関する総説が出ていた。 Hughes GL, Rasgon JL (2013) Transinfection: a method to investigate Wolbachia-host interactions and control arthropod-borne disease. Insect Molecular Biology (link) 宿主昆虫の生殖を操作するボルバ…

鳥類の性染色体は2種類の進化をとげた

今日のゼミで紹介した論文 Vicoso B, Kaiser VB, Bachtrog D (2013) Sex-biased gene expression at homomorphic sex chromosomes in emus and its implication for sex chromosome evolution. PNAS 110: 6453-6458. 性染色体は元々普通の常染色体だったはず…

遺伝子量補償の総説

これも重要。遺伝子量補償の多様性とそれがどうのようにして進化してきたかに関する総説。 Judith E. Mank (2013) Sex chromosome dosage compensation: definitely not for everyone. Trends in Genetics 29: 677-683.

エミューの性染色体と遺伝子発現

いま読んでいる論文。来週のゼミ当番に当たっているので、今のところこれを題材にしようかなと思っている。 Vicoso B, Kaiser VB, Bachtrog D (2013) Sex-biased gene expression at homomorphic sex chromosomes in emus and its implication for sex chrom…

今日のゼミ

リケッチアに関する論文。リケッチアの膜タンパクの1種であるSca2が、真核生物においてアクチンのpolymerizationに関わるタンパクであるforminに似た働きをしているという内容。これがあると自分で移動できるらしい。 Madasu et al. (2013) Rickettsia Sca2…

結核菌が幹細胞に入り込む

Das et al., “CD271+ bone marrow mesenchymal stem cells may provide a niche for dormant Mycobacterium tuberculosis,” Science Translational Medicine, 5:170ra13, 2013. 骨組織の奥深くに存在する幹細胞に結核菌が入り込むという発見。結核が完治した…

バクテリアが癌を起こす?

昆虫の共生細菌ボルバキアのゲノム断片が様々な昆虫のゲノム中から見つかっている。無脊椎動物に比べて、哺乳類などの脊椎動物では、生殖細胞が物理的、免疫学的にバクテリアからしっかり守られているため、バクテリアのゲノム断片が入り込んで遺伝するよう…

piRNA

今日のゼミは、非コードRNAの1種であるpiRNAについての総説。すごく複雑でよくわからなかった(涙)。 Ishizu et al. (2012) Biology of PIWI-interacting RNAs: new insights into biogenesis and function inside and outside of germlines. Genes & Devel…

腸内細菌が種分化を起こす?

これも読まないと。腸内細菌が種分化に関わっていることの驚くべき発見。 Bucker & Bordenstein (2013) The hologenomic basis of speciation: gut bacteria cause hybrid lethality in the genus Nasonia. Science 341: 667-669.

ボルバキアによる単為生殖に性転換が関与?

自分にとって重要な論文を見落としていた。 Tulgetske GM, Stouthamer R (2012) Characterization of intersex production in Trichogramma kaykai infected with parthenogenesis-inducing Wolbachia. Naturwissenschaften. 2012 Feb;99(2):143-52. doi: 10…

微生物の母系伝播は普遍的?

昆虫などを含む無脊椎動物には、様々な微生物が共生しており、母から子に母系伝播していることがよく知られている。 ヒトを含む哺乳類は腸内細菌など、様々な微生物と共生しているが、子どもは生まれた時点では無菌状態であり、その後環境から様々な微生物を…

RNAiに関する総説

昨日のセミナー Karlikow M, Goic B, Saleh MC (2013) RNAi and antiviral defense in Drosophila: Setting up a systemic immune response. Developmental and Comparative Immunology (in press) doi: 10.1016/j.dci.2013.05.004 発現を抑制したい遺伝子を…

ウイルスに対する防衛としてのRNAi

明日のセミナーで使われる文献。予習しておかないと・・・。 Karlikow M, Goic B, Saleh MC (2013) RNAi and antiviral defense in Drosophila: Setting up a systemic immune response. Developmental and Comparative Immunology (in press) 10.1016/j.dci…

成長や成熟に柔軟性を与える遺伝子

今週のセミナー(文献紹介)で題材にした論文。ショウジョウバエの論文を隅々まで読んだのはちょっと久しぶりで準備が結構大変だったけど、とても勉強になった。 Imaginal discs secrete insulin-like peptide 8 to mediate plasticity of growth and matura…

Journal Club

近くでやっているJournal Clubのようなものに参加。 今回の論文は、 Chavez et al. (2012) Closs-linking measurements of the potato leafroll virus reveal protein interaction topologies required for the virion stability, aphid transmission, and v…

投稿論文の現状

年明けに投稿した論文3つの現状。 1つ目は、リジェクト。うーん。投稿した雑誌のレベルが高すぎたようだ。ぎりぎりのラインだと思ったのだが、インパクトが薄かったんだろうな・・・。仕方がない。レフェリーのコメントに参考にして原稿を修正し、先日、も…

査読終了

比較的よくできた原稿だったので、ラクではあったのだけど、査読結果を文章で書こうとするとそれなりに時間がかかる。終わってちょっとすっきり。 論文執筆に戻らないと・・・。