KY BLOG

昆虫と微生物の研究とアート

Google URL Shortener

(知っている人も多いかもしれませんが・・・)

先日妻の仕事を少し手伝ったときに教えてもらったURL Shortner

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これに長いURLを入力(ペースト)すると短いURLに変えてくれる。とっても便利だ。

 

http://www.amazon.co.jp/Endosymbiose-Pflanzlichen-Mikroorganismen-Monographien-Wissenschaften/dp/3034869592/ref=sr_1_15?ie=UTF8&qid=1447384171&sr=8-15&keywords=paul+buchner

このような長いURLが、あっという間に

 

http://goo.gl/8FDk2E

こんなに短く!

 

痛い研究

今週のゼミは今年のイグノーベル賞が題材だった。特に衝撃的だったのは、コーネル大学の研究者が自分を実験台にして体のいろいろな箇所を蜂に刺させて、その痛みの度合いを調べたというもの。体の25か所について(頭、脇、乳首、鼻、唇などだけでなく、陰茎、睾丸などについても)、それぞれ3回ずつ刺され、その痛さの(主観的な)度合いの平均と標準偏差を出している。多くの人にとって、とても気になる研究だと思う。

Smith ML. (2014) Honey bee sting pain index by body location. PeerJ 2:e338 https://dx.doi.org/10.7717/peerj.338

 この結果によると、一番痛いのが鼻の下、その次が唇、ということになっている。なんとなくわかる気がする。でも想像するだけで痛すぎる・・・。

感染に応じて遺伝的多様性を増大させる

今週のゼミで私が取り上げた論文。

Fruit flies diversify their offspring in response to parasite infection.
Nadia D. Singh, Dallas R. Criscoe, Shelly Skolfield, Kathryn P. Kohl, Erin S. Keebaugh, Todd A. Schlenke
Science 14 August 2015: Vol. 349 no. 6249 pp. 747-750

病原体に対抗するには子どもの遺伝的多様性が大きい方がいい。そのなかから生き延びる個体が存在する可能性を増すことができるからだ。

有性生殖をすると父方と母方のゲノムが合わさるだけでなく減数分裂の際に組み換え(交叉)が起きるから子孫は遺伝的に多様になる。

今回の論文では、キイロショウジョウバエに微生物を感染させたり、寄生蜂を寄生させたりすることにより組み換えが起きた子の割合が有意に増えるという現象が報告されている。その仕組みなのだが、組み換えの頻度が上昇するというわけではなく、メスの減数分裂時に、組み換えが起こった細胞がわずかに優先的に卵子になるというものであることがわかったのだ。[注:オスにおける減数分裂では2回の分裂によって4つの精子ができるが、メスでは2回の分裂によって1つの卵子と3つの極体が作られ、極体は退化し消滅する。つまりメスの減数分裂ではどの細胞が卵子になるかにおいて選択の余地が残されているといえる。]

それにしてもどうやってメスは組み換えが起きたものと起きなかったものを見分けているのだろうか。そのメカニズムは謎に包まれているが、とても面白い現象であると思う。

ハエを掛け合わせて子どもの数を数えるだけでこのようなことを明らかにしたというのもすごい。

アリの体毛

先週のセミナーで取り上げられていた論文。

Keeping cool: Enhanced optical reflection and radiative heat dissipation in Saharan silver ants.
Norman Nan Shi, Cheng-Chia Tsai, Fernando Camino, Gary D. Bernard, Nanfang Yu, Rüdiger Wehner
Science Vol. 349 no. 6245 pp. 298-301.

大幅に遅刻してしまったため、ほとんど聞けなかったが・・・。サハラ砂漠に生息するアリの話。この論文で取り上げられているアリは、サハラン・シルバー・アントと呼ばれるように、体表面が銀色の毛でおおわれている。その毛の生え方がどうも特殊なようで、大変な直射日光にさらされても熱をうまく逃がすことができるらしい。バイオミメティック(生体模倣科学)としても注目すべき内容のようです。

 

 

Bracovirus

昨日のゼミで取り上げられていた論文

Gasmi et al. (2015) Recurrent domestication by Lepidoptera of genes from their parasites mediated by Bracoviruses. PLoS Genetics 11(9):e1005470.

 Bracovirusという名のウイルスはチョウやガの仲間に寄生する寄生蜂から見つかるDNAウイルスである。このウイルスのDNA断片が幅広い分類群の昆虫のゲノムから見つかっており、どうもそれらが機能しているという。なんとヨトウガではそのDNA断片がバキュロウイルスという有名な病原体に対する抵抗性に関わっているという。

ボルバキアの論文

(ボルバキアを研究している人にとっては)衝撃的な論文が出ていた。

Pontier SM, Schweisguth F (2015) A Wolbachia-Sensitive Communication between Male and Female Pupae Controls Gamete Compatibility in Drosophila. Curr Biol. 2015 Sep 2. pii: S0960-9822(15)00886-6. doi: 10.1016/j.cub.2015.07.052.

 ボルバキアによる細胞質不和合に蛹の時期におけるオスメス間のフェロモン伝達がかかわっているという驚きの内容。今まで言われていたmodification-rescue説は間違っているのだろうか?キチョウのように母親がバラバラに卵を産むような種で見られる細胞質不和合はどうなっているのだろうか?この論文、あとでちゃんと読んでみよう。